土曜日に東京でスポーツ医療チームのレッスンを終えたら、すぐに京都に移動です。日曜日にどうしても出たい指導者研修会があったので、もうドタバタ慌しくて仕方がありません。月曜日には新たな切り口のために、ペインクリニックの先生を訪ねてきました。すべてが繋がることで、日本のスポーツ指導の取り組みが進化していきます。

 

 

水曜午前は、大人のアーチェリーのレッスンです。今回は極太で剛性の高いカーボンロッド(スタビライザー)を装着して、レッスン受講生の皆さんの前でデモンストレーションの実射です。

 

そこそこ的中しているように見えたようでしたが、ぜんぜん面白くありません。挙動が神経質で、射っていて気疲れします。機材のスペックはどんどん高まってますが、現代の人間の能力が高くなっているワケではありません。スペックに踊らされずに、扱いやすい機材を使うことが大切なのです。

 

日曜日のセミナーは、アーチェリー指導者のためのセミナーではありません。京都府体育協会主催のスポーツ指導者研修会です。2人の先生による講演です。

 

似たようなお話は他のセミナーでも何度か聞いているのですが、先生によって少し切り口が違っていたりするのが面白いです。最初は同志社大学の田附先生による研究協議の講義で「子ども・選手の力を伸ばす指導方法」です。

 

 

才能の最高局面の個性を引き出すための様々なメソッドを、古典芸能や落語などに例えて、わかりやすく解説されました。こうした内容を鑑みると、ほとんどの指導者が「ゴールデンエイジ」を正しく理解できていない取り組みを行ってしまっているのが、よくわかります。ゴールデンエイジの子ども達を押し付けてスポーツを習わせようとしても、上手くいかない理由がそこにあります。

 

 

これに関しては異論はないでしょう。人間は便利さと引き換えに、持って生まれた様々な能力を劣化させてしまっているのです。テレビやスマホを眺めている時間が長ければ長いほど、運動能力と集中力が低下する話題にも触れられました。

 

 

これはアーチェリーの話にドンピシャですね。同じことを続けているから上手くなれないと言及されたのには、思わず笑ってしまいました。まさに、その通りです。多くの人がアーチェリーが大して上手くなれないのは、上手くなれない方法を反復練習しているからです。

 

 

「いつも通りでいいよ」指導者としての指導を正しく受けてない人が、つい言ってしまう文言がコレですね。自分環境というのは常に何らかの状態が変化しているのです。その変化し続ける状態の中で、いつも違う工夫をこらすことが大切です。どんな環境でもいつも同じことが本当にできる人などいないのです。

 

深くは紹介しませんが、驚かされたのはドイツの幼稚園と小学校の取り組みでした。ドイツの小学校での取り組みは、日本では学級崩壊と思われるかも知れませんという紹介のされ方が腑に落ちました。日本のような、幼少期の子どもから遊びを奪って勉強をさせてしまうことが、いかに人間の様々な感覚を奪い、考える能力を失い、個性を失ってしまっているか、という事です。

 

そして次は、私が最も聞きたかった講演です。元ジェフユナイテッド市原・千葉 育成普及部コーチで、昨年まで京都サンガFC普及部部長をされてた池上先生のお話です。タイトルは「選手の力を引き出す指導方法とサポートについて」ですが、講義の内容は指導者にとって辛らつな意見が多く、私は共感できる部分が多かったです。多くの指導者にとっては、耳の痛い話ばかりだったと思います。

 

日本では指導者として必要な勉強をほとんどしないまま、多くの人が指導者になれてしまっている問題については、私も常に指摘している通りです。「自分が少しでも指導に携わったり、アドバイスをしたことがある選手がオリンピックにでも出場しようものなら、「俺が教えた」という指導者がどんどん出てくる」という話には、こらえ笑いで腹筋が攣りそうになりました。それは、教えさせていただいた方の自身の努力の結果なのです。指導者は裏方なのに、しかも教えた人のうち、たまたま一人に優秀な選手が出てきたからといって「俺が教えた」と出てくるのは、日本くらいなものでしょう。

 

日本のスポーツは大会至上主義で、やたらと競技会に出場させる傾向が強かったり、勝つことが一番大切だというような、スポーツに対する誤った考え方を、幼少期の頃から植えつけてしまっていたり、オリンピックでメダルの数を競ったり、「おかしいですよね」と一蹴。

 

日本では指導というと厳しい指導を行うと勘違いしている事についても言及されました。きつい練習や、多すぎる練習量についても問題です。日本ではスポーツを教育の一環としていないことや、学校のクラブの在り方についても見直しが求められますね。ドイツでは学校は午前中で、午後からは地域のスポーツクラブでスポーツを学ぶのだそうです。人を育てるためにスポーツがあり、スポーツは学ぶべき教育であるというのが、スポーツ先進国の取り組みだという事。

 

私たちがこれまで、日本で文化としてのスポーツの取り組みを進めてこなかったことが大きな反省点。子どもが取り組むスポーツに異常なまでに勝利を求める考えを戒めることや、子どもの頃から全国大会を目指すようなことをさせないこと。そして「スポーツ」という言葉の意味を本当に正しく考えることが、これからの日本のスポーツにとって大切です。国策としてメダルの数の目標を立てているこの国で、スポーツバカのメダル獲得マシーンを作るのが優秀な指導者ではないとのこと。

 

私が常に論じている文化としてのスポーツという部分を詳しく説明して下さいましたが、正しく認識できているスポーツ指導者は少ないでしょう。実践できている指導者なんて、何人いるというのだ?日本でスポーツ指導者になることができるハードルが低すぎるからでしょうね。指導者の人数を増やすためにスポーツ指導員を増産している日本の取り組みは、池上先生が仰る通りに大問題なのです。今のこの環境が、将来の日本のスポーツ指導界をどのようにしてしまうのか、憂慮すべきなのです。

 

日本では3年後にオリンピックがありますが、オリンピックが終わったあとに何が残りますかね?どんな素晴らしい何を残すことができますかね? 残るのは血税注いで作った、べらぼうな年間維持費がかかる箱モノと、中途半端な指導者が溢れかえって、トップレベルになりきれなくて振るい落とされて第二の人生を求めてさまよう、指導者になりきれない大量の戦力外アスリート、大量の故障者という状態になりやしないか?

 

こうしたお話を日本のアーチェリー界に重ね合わせてみると、どんどん明るく切り開いていくことができますね。私が生きている間には少ししか進めることができないかも知れませんが、これからアーチェリーというスポーツを始める将来の人たちのために、できることが山ほどあります。一つずつ築き上げていきましょう。

 

さて、土曜日はスポーツ医療チームのレッスンですし、日曜日は終日レッスンです。月曜日はミーティングがあって、午後からはスポーツ内科です。平日はレッスンがあって、次の土曜日はスポーツ医療チームによるメディカルチェック2回目を兼ねた春のミニ合宿です。

 

この2回目のメディカルチェックは、関東の入会メンバーの参加者が多い予定です。賑やかになるので楽しみですね♪

 

けいはんな地域での平日午前中のレッスンは賑わっています。

 

 

寒さも一段落といったところでしょうか。これまでスポーツ医療チームと一体となって取り組んできた、オフシーズンのリハビリ・トレーニングが功を奏して、優れた身体が仕上がりつつあります。暖かい本格的なシーズンが待ち遠しいですね。

 

昨年から東京でのレッスンがスタートしました。これまで土曜または日曜といった休日を中心としたレッスンでしたが、平日のレッスンをご希望される声が寄せられるようになりました。ご要望にお応えしまして、平日のレッスン日程を検討させていただきます。ご期待下さい。

 

■東京秋津店の営業時間変更のご案内

 

2月18日(土曜)は、スポーツ医療チームのレッスンで不在にしている時間があり、営業時間を変更させていただきます。

 

店舗を営業させていただく時間は、18-20時です。よろしくお願いいたします。

 

3月以降はレッスン日程が大幅に増えますので、店舗の営業日・営業時間を変更させていただきます。営業日が変則的になりますので、ご来店前にブログでの最新情報をご確認下さいますようお願いいたします。

 

■アーチェリー体験会

 

3月11日(土曜)のアーチェリー体験会は、間もなく申し込みを締め切らせていただきます。ご入金下さいまして、当会からご案内をさせていただいた方のみ受付させていただいております。事前にご入金されてない方は、会場に入ることはできません。

 

締め切り後に、お申し込みがお済みの皆様には個別に詳細をご案内させていただきます。ご案内の到着を楽しみにお待ち下さい。

 

スポーツ医療チームのメディカルチェック1部での診察を受け、スポーツ内科を受診して運動負荷呼吸機能検査と血液検査を受けてきました。忙しくしている間に、メディカルチェックの2部がもうすぐ始まります。

 

アーチェリーのみならず、どんなスポーツであっても、アスリートとして優れた身体が必要です。その身体を自分の思い通りに動かすことができるようになることで、最高のパフォーマンスを発揮することができます。

 

しかしながら、身体は心が動かしています。身体が優れた状態でなければパフォーマンスを語る以前の問題ですし、大舞台で身体を自分の思い通りに動かすことができるための心理的スキルを身につけてなければ、思い通りに発揮することができません。

 

心・技・体 とはよく言ったものです。アーチェリーの上達のためには、それらが高い次元でバランスが取れてなければなりません。多くの人はアーチェリーで使う機材にふんだんにお金をかけます。そして聞きかじったような技術を身につけようとします。しかしほとんどの人は、それでは大して上手くなりません。本当に上手くなりたいのであれば、自分に足りないものが何であるかを知らなければ、雲を掴むかのような取り組みになってしまいます。

 

ほとんどの人が、アスリートとしての 心・技・体 のすべてが及ばない状態でスポーツをしている状態であることにすら、気づいてないのです。備えているのは高価な機材のみです。心・技・体 が高い次元でバランスしているのであれば、その高い機材の性能をフルに発揮できるハズなのです。アスリートとしての自分のパフォーマンスを高めるために、自分に何を揃えていかなければならないかを、正しく検証できなければなりません。獲得するスキルの順番も、絶対に間違ってはいけません。心・技・体 、それぞれをバランスよく正しく備えていきましょう。

 

■スポーツ内科の検査結果

 

京都九条病院に2月1日に新設されたスポーツ内科に、初日に診察を受けてきました。アスリートとして理想的な身体の状態であるかどうか、アスリートとしての理想的な身体に過不足しているものが、具体的に何であるかを生化学的見地に基づいて調べ上げ、スポーツ内科専門のドクターの指導を受けてパフォーマンスを向上させます。

 

 

血液検査は一般的な健康診断の安静時での採血とは異なり、運動負荷呼吸機能検査を行なった直後の採血です。通常の血液検査とは異なる検査項目があり、通常の血液検査と同じ項目であっても、下限値・上限値が一般とは異なるアスリートでの数値が設定されています。

 

運動負荷呼吸機能検査では、運動前と運動後のそれぞれの呼吸機能がどのような状態であるか、努力性肺活量・1秒量・1秒率を測定します。運動負荷によってそれらがどのように変化しているかでスポーツ内科のドクターからの様々な指導を受けます。1秒量の低下が10%以上見られた場合などは、治療に関する指導を受ける場合があります。私は気管支喘息ですが、今回の検査では運動後の1秒量が増加していました。これにより、現在の身体の状況においては、運動前に吸入薬を使う必要がないということがわかりました。

 

血液検査では採取した血液の様々な成分を調べることで、運動を続けている身体に必要な要素をすべて備えることができているかどうかが、はっきりします。普段の食生活において、どんな栄養素が不足しているのか、何が足りていないことでパフォーマンスが高まらないのかが見えてきます。自分の身体は自分が食べたもので作られているので、「自分」にとっての栄養バランスがどのようなものであるかを、正しく知っておかなければなりません。

 

特にスポーツにおいては緊張やプレッシャーでストレスがかかると、消化器官の働きが鈍ることがわかっています。内蔵それぞれの能力が高くない状態では、摂取した食べ物が十分にエネルギーとして使われず、疲労回復のペースまでも低下してしまいます。練習では調子がいいのに本番では上手くいかないという人や、大きな競技会が近づいてきてプレッシャーを感じて本番にうまく調子を合わせることができないよう人が多いですが、そういった状態を回避するためにも、スポーツ内科で自分の身体の状態を調べてもらうことが大切です。

 

来週はエコーで内臓の状態の検査です。こうして身体がどのような状態にあるのかをくまなく調べることで、あらゆる面において的確なトレーニングの指標を定めることができるのです。まだまだ検査で細かい部分まで調べていきますが、アスリートとして理想的な状態にあることがわかりました。これまでの身体管理とトレーンング、若い頃に受けていた食生活指導のおかげです。次回の検査でさらに細かく指導を受けて、歳を重ねても磨き上げられたアスリートとしての身体を維持していきたいものです。

 

 

こちらはスポーツ内科を受診する際の問診表です。身体で感じる身体的な症状だけではなく、パフォーマンスの低下を実感する、記録が伸びない、練習(試合)の途中から調子が出ない、以前できていたことができなくなった、女性アスリートの月経に関する様々なことなどのような、アスリート特有の項目があります。パフォーマンスが上がらないというのは、スポーツ内科を診察するための理由のひとつになります。保険適用なので安心です。記録の伸び悩みを自分ひとりで抱え込まず、仕事や学校帰りに受診してみましょう。

 

■メディカルチェックの診察結果

 

 

メディカルチェックは入会メンバーが増えたために、今回からは2部に分けて開催させていただきました。前回開催の1部の診察結果が届きました。人数を分けて開催と言っても、1部での受診メンバーの診察結果だけでも、その書類の量が多いです。全員の診断結果を見るのに、丸2日かかりました。スポーツ医療チームの皆様には、感謝しかありません。

 

 

前回から診察項目が大幅に増えましたが、詳細なデータを解析するためにさらに診察項目が増えました。アーチェリーの指導に必要な150程度の項目について身体の状態を検査します。すべての診察が終わるまで1人あたり数時間がかかる、凄まじいメディカルチェックです。

 

 

スポーツ整形のドクター四本先生の診察を受けた後に、本人の痛みや自覚の有無を別にして、骨格と筋肉がどのような状態であるかをスポーツ医療チームによって徹底的に調べます。実射ばかりを繰り返すようなアーチェリーを行なってきた人に関しては、それぞれの筋肉がどのような状態であるから、その人にとって合理的な骨格のポジションへの誘導ができなくなっているのか、練習のしすぎによる特定部位の酷使による状態の悪さなど、フォームなどの外観や実射の動作からでは知ることができないことまでも丸わかりになります。触診ではわからない故障を未然に防ぐ手がかりになることもあります。

 

 

今回はエコー(超音波測定器)での内部の筋厚を測定する項目が大幅に増えました。体幹部は多裂筋・腹横筋・内側腹斜筋・外側腹斜筋・腹直筋・広背筋を、左右それぞれの状態を測定して、実射時の体幹捻転の原因がどの部分の弱さによる不安定につながっているのかをピンポイントで探り当てました。こうして身体がどのような状態にあるのかを具体的に知ることで、合理的なトレーニングをプログラムすることが可能になります。

 

 

これは私の所見です。これまで受診した5回のメディカルチェックの診断結果は、診断ごとにプログラムしていくリハビリ・トレーニングの結果、身体の状態がどのように優れた状態に推移しているのかを時系列に比較することができるようになっています。回を重ねるたびに身体に高度なことを要求されるようになりますので、身体の状態がレベルアップしていくに従ってさらに細かく指示されるようになります。

 

SLR HIR は左右それぞれの目標数値を達成しなければ、発射前後の骨格の動揺が大きくなることが加速度センサーでのデータとの照合で明らかになっています。手足の長さのバランスにもよりますが、FFDの数値が低くても似たような現象が見られます。上肢のみならず下肢の状態がアーチェリーの上達に大きな関わりがあります。自分の骨格と筋肉がどのような状態にあるのかを、こうして正しく知ることが大切です。

 

メディカルチェック2部が終了したら、2部受診メンバーの診断結果をもとに、加速度センサーを使ってトレーニングの成果を測定する予定です。楽しみですね。

 

■スポーツメンタルトレーニングの専門家

 

 

京都でお世話になってました、スポーツメンタルトレーニングの専門家、筒井先生です。関西ではなく東京でお会いすることになるとは、昨年まではお互いに考えもしなかったことです。

 

スポーツメンタルトレーニングを正しく受けているのは、限られたほんの一部の選手だけで、実践できている人は少なく正しく理解されてません。スポーツメンタルトレーニングを精神修行のようなものと誤解されていることが多いです。しかし滝に打たれるようなものでも、根性を叩き込むようなものでもありません。選手と指導者が一緒になってトレーニングの過程で心理的スキルを獲得して、それを実際に活用できるようになるための理論と技法に基づいた、計画的で教育的な取り組みです。

 

私が伝えるよりも、筒井先生から優しく伝えていただいたほうが効果が高いのは確実に思えます。本当はそんなことではいけませんが、それもメンタルトレーニングのひとつかも知れません(笑)

 

筒井先生はスポーツのみならず、企業など様々な分野で指導をされてるメンタルトレーニングの専門家です。アーチェリーは技術の正確性を追求するスポーツですので、メンタルトレーニング抜きで語ることはできません。たとえ上達を果たしたとしても、本番で効果を発揮できないで終わってしまうのであれば、積み重ねてきた努力が報われないからです。そうならないためにも指導者の経験則による指導ではなく、それぞれの専門家と一体となって、アーチェリーというスポーツが上手くなる取り組みが大切です。

 

スポーツ指導の底辺での取り組みを、どんどん素晴らしいものに作り変えていきます。これからの日本のスポーツ指導の更なる進化が楽しみです。

 

■スポーツ内科の診察を受けました

 

けいはんなアーチェリーでは、世界トップレベルのスポーツ医療チーム(K-SMART)と一体となってスポーツ指導の取り組みを進めております。スポーツ医療チームはスポーツ専門の医師・理学療法士・栄養士・薬剤師・健康運動指導士などによって構成されるスポーツ医療の現場のスペシャリストです。そのスポーツ医療チームに2月1日からスポーツ内科が新設されました。京都九条病院のスポーツ内科外来です。

 

スポーツでパフォーマンスを高めるためには、生化学的な見地からの指導が必要です。自分の身体は自分が摂取した食物や飲料からできています。それらを材料にして自分の運動によって骨格・内臓・血液・筋肉が作られ、運動するためのエネルギーとして使われます。自分の身体の状態は自己管理と定期的な検査によるものが大きいのですが、テキトーどころかムチャクチャな状態なアスリートが大半です。どのようにしてアスリートとして優れた必要条件を揃えなければならないかを正しく学ぶことができる環境は、まずないと思います。

 

どんなに優れたテクニックや、高い身体能力を身につけるために努力を続けても、自分の身体の中身が優れた機能を果たすことができてないと、その努力がなかなか報われません。パフォーマンスが上がらないのには理由があり、スランプに陥るのには理由があります。消費に見合ったエネルギーをしっかりと摂取できているのか、それとも摂取している食品の偏りによってアスリートとして適切な身体を崩してしまっているか、一般生活とは異なる運動負荷がかかるアスリートの身体が、アスリートとして必要な様々な基準を満たしているのかを診察します。

 

 

スポーツ内科の担当は田中先生です。関西スポーツ内科・栄養学会の代表を務め、なでしこ1部リーグのドクターでもあり、ジュニアからプロ、シニアまで幅広いアスリートの診察に当たっている、新進気鋭のスポーツ内科ドクターです。2月1日から京都九条病院で水曜日の夕方から外来診療がスタートしました。診察時間は毎週水曜の17:30-20:00ですので、仕事帰りや部活動が終わった後に受診することができるので便利です。

 

京都九条病院は、整形外科、リハビリ、内科、栄養、薬剤などの様々な専門家が、アスリートが抱える問題に対応する体制が整った、関西で唯一の病院です。今回新たに開設されたスポーツ内科は、田中先生が内科的な側面から、スポーツ内科的な問題を予防・治療し、アスリートのパフォーマンス向上をサポートして下さいます。伸び悩んでいる人やパフォーマンスが低下して模索しているような人は、スポーツ内科を診療してみて下さい。初診予約や予定日の変更は、京都九条病院受付 075-691-7121 (月-土 9-17時)まで電話して下さい。

 

 

血液検査は健康診断の時の普通の検査とは違って、多めに血液を採取します。アスリートとして本当に正しくパフォーマンスを高めていくことができるかどうか、22項目にものぼる詳細な検査を行います。一般の数値とアスリートの数値は、基準値が異なります。そのため一般の病院で行う血液検査では調べることができない部分まで知ることができます。

 

 

田中先生の診察を終えたら、様々な検査が行われます。まずはアスリートの運動負荷呼吸機能検査です。安静時と運動負荷後の2回にわたって検査を行います。これによって身体所見による医師からの喘息の診断を受けなかったようなアスリートであっても、運動負荷後の検査で運動誘発性喘息に陥っている状態を知ることができ、安静時の検査で拘束性換気障害、混合性換気障害、閉塞性換気障害などの可能性を調べることができます。

 

 

アスリートではなくても鉄分の摂取が大幅に不足している人が多いですが、スポーツする上で鉄分の不足はパフォーマンスを慢性的に低下させてしまいます。アーチェリーは持久力スポーツなので、ヘモグロビンが少ない身体では持久力と筋力が低下してしまいます。疲労からの回復が遅れている身体の状態にあるにも関わらず、毎日のように繰り返し練習を重ねているようでは、パフォーマンスを低下させるためにひたすら頑張っているというムダを生み出します。日本のスポーツ界にはそういった取り組みになっている人が多いです。何を食べたら良いというよりも、自分の運動の量に対して、何がどれだけ過不足な状態であるかを正確に知っておくことが大切です。

 

 

私は気管支喘息を抱えていますので、恐らく他の指導者よりもこの部分は神経質な取り組みになっていると思います。気温や湿度が低い状況下での運動を避けることの大切さ、十分なウォーミングアップが必要なこと。これらはウルサイくらいに指摘し続けているのですが、一向に改善されない部分に思えます。日常生活では喘息を発症しないアスリートでも、ひとたび運動が始まると咳をしだすアスリートがいます。運動を終えて数時間もすると症状が出なくなるので選手も指導者も軽く見られがちですが、自分では気づかないうちにパフォーマンスが低下してしまっているのです。持久力スポーツで冷たく乾燥した空気の中で練習を続けていると、運動誘発性喘息になるアスリートが多いです。指導者は冬場のトレーニングや練習の環境を正しく整備して、アスリートを守らなければなりません。

 

 

日本では指導者に男性が多く占めるせいか、女性アスリートが抱える特有の状況を正しく伝えることができてないと思います。エストロゲンの分泌が低下することで骨密度が低下して、疲労骨折という事態に陥る場合があります。上の図の通りですが、これら3つのバランスが崩れることで、繰り返しの運動による疲労骨折を防ぐために、定期的な検査を行って身体の状態を管理することが大切です。

 

さて、田中先生の説明を受けた後は、運動負荷機能検査です。まずは運動前の呼吸の検査です。安静時の検査を終えたらリハビリテーションルームへ移動です。リハ室では高校生アスリートたちが様々な運動試験で悶絶してました。エルゴメーターでペダリングしている高校生は、指定された高い心拍数を維持するために貧血気味で顔が白く、うつろな表情で必死にペダルをこいでいました。私もこれから同じ事を課せられるのですね(笑)

 

 

私を担当して下さったのは、スポーツ医療チームでいつも加速度センサーの解析の際にお世話になっている竹岡先生です。竹岡先生の指示に従って身体のパフォーマンスを測定していきます。最大出力が求められる場合は、大声で激を飛ばします。

 

まずは膝伸展筋力の測定です。身体を固定した状態で、90°に曲がっている膝を伸ばします。一度ウォーミングアップがてら、ソコソコの力で試したあとは、フルパワーで膝を伸ばします。右膝 242Nm、左膝 261Nm でした。右膝は腫瘍の手術のために外側側副靭帯再建、半月版再建、骨移植、靭帯移植などの大きな手術をして京都九条病院に59日間入院して、2年ほどリハビリ療養生活を過ごしていた経緯があるのですが、右膝は手術前に近い筋力の状態にまで回復していることがわかりました。左が少し強くなっているのは数年にわたって右をかばって生活してきたのもあるでしょう。

 

 

膝伸展筋力を測定したら、エルゴメーターに移動です。指先にパルスオキシメーターを取り付けていますので、運動負荷をかけた際の心拍数と血液中の酸素飽和度を知ることができます。

 

 

心拍数が150を超えるまでがウォーミングアップで、150を超えた時点から7分間もの間、心拍数150以上を維持させた状態を続けます。指先に装着されたパルスオキシメーターには、このように表示されます。心拍数174の状態で酸素飽和量が99と表示されています。私はこの程度の心拍数であれば呼吸も荒くなく、竹岡先生と笑顔で普通に会話を続けることができる程度の強度です。

 

運動負荷呼吸機能検査をすると思ってませんでしたので、ジーパンを履いたままでのペダリングになってしまいました。スポーツ内科を受診される時は、運動負荷呼吸機能検査を受ける場合に備えて、ジャージなどの運動に適した服装を着用して下さい。

 

 


これはパルスオキシメーターで表示された数値を、竹岡先生が30秒ごとに記入したものです。ボルグの強度は15-13です。心拍数を上げて運動強度を高めても、動脈血酸素飽和度は99%のままです。

 

 

最初の数分はボルグの数字を尋ねられてましたが、心拍数を上げて運動強度を高めても私に変化が見られないので、そのうち聞かれなくなりました。心拍数が190に近づいてもボルグの数値は15程度です。

 

そして運動負荷後に再び呼吸機能検査を受けて、そのあとすぐに採血をしました。来週の診察で結果を教えていただく予定です。楽しみですね。

 

 

喘息予防のために花粉症の薬の処方箋をもらって、保険適用での費用負担30%で支払いは 4,850円でした。保険適用で費用負担が軽く済むのが助かります。スポーツ内科ですので、処方される薬についても様々な心配をしなくて済むのが有難いです。

 

こうしたスポーツ内科が開設されることで、アスリートが自分の身体に深く興味を持つきっかけになればいいですね。アスリートとしてレベルアップを果たすためには必須だと思います。

 

■営業時間変更のお知らせ

 

けいはんなアーチェリー東京秋津店はレッスンのため、一部の日程で営業時間を短縮させていただきます。

 

2月5日(日曜) 18-20時

2月18日(土曜) 18-20時

 

ご不便おかけしますが、よろしくお願いいたします。

 

 

土曜日はスポーツ医療チームのメディカルチェック診察でした。入会メンバーが増えたためにメディカルチェックを2回に分けて開催していただきました。本当にありがとうございます。

 

 

メディカルチェックはスポーツ医療の現場のエキスパートの立場から、一人一人の身体の状態を詳しく調べ上げます。本人の自覚の有無を問わず、痛みや故障を防ぐと同時に、アスリートとしての理想的な身体を作り上げる取り組みです。

 

まずはスポーツ整形のドクター四本先生による個別診察が行なわれます。関節各部の状態や筋肉がどのような状態にあるかを、肩専門の医師の目で詳しく調べます。四本先生はアーチェリーや弓道などの弓矢を使うスポーツの肩の動きに精通されてる肩専門のドクターです。

 

 

痛みや故障を抱えてから整形外科を診察するのではなく、痛みや故障を未然に防ぐ取り組みが大切です。こうしてスポーツ専門の医療のスペシャリストから、2つとない自分の身体を理想的に使うことができるようになるために、個別に合理的な取り組みを進めていきます。

 

 

これまでスポーツ医療チームと一体となって進めてきた、一人一人の身体の状態に合わせたリハビリ・トレーニングの成果を、自分がどう感じているかというような曖昧なものではなく、身体の状態を物理的に具体的に表していきます。こうして全身の関節と筋肉の状態を調べ上げることで、本当に正しい身体の動きができているのか、似たような動きにするための代償動作(ゴマカシの射)が出来上がってしまっているのかが、植田先生が測定する数値で丸わかりになります。

 

ジュニア期のアスリートは身体の状態が芳しくないにも関わらず身体に無理をさせていることが多く見られますので、特に注意が必要です。実射を多く課すことでの身体的な弊害があまりにも多いので、取り組むべき順番と量を厳密に守らなければなりません。故障者を作り出して整形のドクターを過労に追い込むのは指導者の仕事ではありません。上手くなるため(強くなるため)に痛みや故障を抱えたり、故障を抱えたまま痛みに耐えながら取り組むというのは、正しいスポーツの在り方ではありません。

 

 

こちらは、いつも東京に帯同して下さる海江田先生による、下肢と腹部のエコー測定です。身体の内部の筋肉の状態は、外観からでは知ることができませんし、触診でもわからない部分があります。そういった深層部におけるインナーマッスルの筋厚は、このような超音波測定器を使って測定します。

 

 

前回のメディカルチェックでは検査項目が大幅に増えましたが、今回からも検査項目が増えました。アーチェリーにおける射の安定に重大な役割を果たす、腹部・腰部の深層の各筋肉の状態がどうであるかを調べます。

 

 

それらの筋肉の状態が、呼気時と吸気時でどのような働きがなされているかを測定して、具体的な不安定箇所を調べます。自分には必要がない筋トレを行なっていることで身体の筋力バランスを崩してしまっていたり、筋肉量が足りていないために不安定な状態に陥っていたり、固くて動きの状態が芳しくなかったりと、一人一人が様々な状態にあります。

 

 

上肢エコーは上半身裸になりますので、このようにプライバシー保護のために別室で行ないます。これは私の測定時の画像です。ご覧の通り、筋骨隆々ではありません。腕も肩も細っそりしています。アスリートとしては細めの部類です。握力も強くありませんので、中学生と腕相撲をしても負けてしまうほどです(笑)ただし、診るべき人が測定すれば、内部に隠れた各部の筋肉が、どれほど優れた状態であるかが見えてきます。

 

上肢エコーではアーチェリーの正確な射に欠かせない、肩甲骨を安定させる役割を担う筋肉がどのような状態であるかを調べます。骨格の位置が正確でない場合や支えるべきポイントにズレが生じているような場合は、それを補完するための余計な筋肉が使われてしまいます。それが骨格を支える力の向きを複雑なものにしてしまい、正確性を損なってしまいます。

 

 

こうして肩甲骨を動かすための筋肉の状態をエコーを使って調べることで、筋厚と左右の筋肉量のバランスを正確に調べることができます。骨格で正しく弓の力を支え、左右での引き分けを、本当に正しく行なうことができているかがわかります。

 

弱いから鍛えろというような盲目的なものではなく、どの部分がどんな状態であるかを正確に特定することで、具体的な箇所をどのようにしてどれだけ養成していくか、的確で合理的なメニューをプログラムすることができるのです。

 

アーチェリーは技術の正確性のスポーツです。自分の身体を緻密で正確に動かすことができなければ、どんな高性能な機材も扱いこなすことができません。使う道具と自分の身体という2つのものが1つになって正しく機能して、はじめてアーチェリーというスポーツを成すことができるのです。道具という片方にどれだけ正確性が保たれていたとしても、身体の使い方が正確でなければ 、正確な道具を不正確に使うことにしかなりません。自分の身体という大事な片方が正確性を損なっている状態でアーチェリーを続けていても、身体への負担を蓄積させることにしかなりません。

 

自分の身体がどんな状態であるかを正確に把握してなければ、改善も強化もできません。正確に射つことができるようになるために、自分にとって本当に必要なことが何であるかを知り、抽象的なものではなく合理的な取り組みを行うことが大切です。

 

2回に分けていただいた次のメディカルチェックは、1ヶ月ちょっと先に開催させていただきます。入会メンバーの皆様は、メディカルチェックが楽しみですね。

 

今回は関東のメンバーから2名の方がお越し下さいました。次回は関東から6名お越し下さる予定です。あまり大所帯にしたくはありませんが、こうした取り組みが他でも全国的に行われるようになって、日本のスポーツ指導はこれが普通だと言われるような時代になってほしいものです。

 

このメディカルチェックの全員の診断結果は、指導者としての私への通知表として厳しく突きつけられます。レッスン受講生の皆さんの身体の状態を正確に把握してリハビリ・トレーニング指導を行うことができていたか、局部的に過度な酷使や負担を生じさせていないか、少しでも誤った指導が行われていたとすれば、それらが診断結果で冷酷に示します。

 

指導者なりの経験則に応じた指導は、もはやほとんど役に立ちません。私が指導者として現代のスポーツ科学に基づいて正しく指導ができているかどうかは、スポーツ医療チームが指摘します。これからの日本のスポーツ指導をさらに素晴らしい取り組みにしていくために、スポーツ医療チームと一体となったスポーツ指導を取り組みます。

 

後半のメディカルチェックが終わったら、メンバーの一部では加速度センサーを装着してのチェックがあります。発射時の骨格各部の動揺がどこに働く力の向きによるものなのかを検証して、必要な部分には柔軟性を、必要な部分には強化を、不必要に働いてしまっている部分にはリラックスさせることができる能力を養うためのプログラムを組んでいきます。

 

アーチェリーの世界だけではなく、様々なスポーツの分野との交流によってスポーツ科学が大きく進化を遂げています。これまでは一流アスリートにしか与えられる機会がありませんでしたが、こうした取り組みを誰もが得られることができるようにすることで、日本のスポーツを底辺から強く厚くしていきます。


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